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第2回大会

1999 年 9 月 1 日

第2回大会 1996年(平成8年)8月28日 参加校 8校
タイトルおよび発表内容要旨 (入賞者を除き発表者氏名50音順)
※氏名・所属・学年は発表当時

優勝:松山 智子, 日本大学歯学部, 6年生

塩素濃度の異なる2種類の酸化水の殺菌効果および保存条件による経時的変化

水に少量の食塩水を加え電解することにより得られる強酸化水は、歯科領域では消毒剤への応用、さらに齲蝕や歯周疾患患者に対する化学的プラークコン トロール剤として使用が検討されているが、タンパク質の添加や保存することによる殺菌効果の低下やpHが2.0-3.0であることによる金属の腐食、硬組 織の脱灰が懸念されている。最近、pHがより中性になるような酸化水(以下ソフト酸化水:SOWと略す)が開発されたので、そのSOWを用いて、歯科領域 での利用を考え、口腔微生物および一般細菌(12菌種12株)に対する殺菌効果を検討し、さらに保存することによる経日的変化についても強酸化水と併せ検 討した。結果は、強酸化水よりSOWの方が短時間で強い殺菌効果を示し、長時間の保存が可能であることを認めた。しかし、まだその安全性に関しては報告が ないため、今後のさらなる基礎的、臨床的研究の必要性が考えられた。

準優勝:奥村 哲, 東京医科歯科大学歯学部, 6年生

パーソナルコンピューターを用いた新しい発語明瞭度検査法の開発

上顎有床義歯の不快事項に子音の構音障害がある。従来の構音機能の評価法としては、発語明瞭度検査等が行われてきた。しかし、この検査は数名の聴取 者が必要で、また心理学的影響が避けられないため、その客観性に問題があった。そこで、よリ簡便で客観的な方法として、パソコンをもちいて各子音の持続時 間等を測定する方法を考案したので報告する。上顎有床義歯の代用として、口蓋を覆う厚さ均一なアクリル製プレートを作成した。健常者を被験者とし、プレー ト装置時、及び非装置時の発音をDATに録音し、PCを用いて子音の持続時間などを測定、比較した。その結果、プレートの有無によって子音持続時間やSD が変化することが示された。これらは発音の明瞭さを反映する因子であると考えられるので、この方法によって発音の明瞭さの簡便で客観的な評価が可能であ る。さらに改良することにより、チェアーサイドでの蝋義歯の調整などに応用できるであろう。

第3位:秋根 麻, 長崎大学歯学部, 6年生

水泳競技におけるマウスピース(Soft Occlusal Plate)の効果

現在スポーツ選手でマウスガードやテンプレート等のマウスピースを装着する者が増えている。マウスピースの効用は野球等に於いては最大筋力の向上 を、またラグビー等のコンタクトスポーツに於いては衝撃吸収による外傷予防が主である。しかし水泳等の有酸素運動に於ける使用はまだ少ない。その理由には 呼吸抑制・嚥下困難・違和感等が考えられる。これらの問題点を改善するため新しいタイプのマウスピース soft occlusal plate (SOP)を考案した。被験者として本校の水泳部員を選び、本装置を装着させクロールを泳がせた。そして装着時と非装着時の平均タイムを比較し、本装着の 効果の有無を検討した。その結果、SOPの装着によって平均タイムの短縮傾向が認められた。このことから本装置の使用は水泳時の最大筋力の増加、またスト リームラインの改善等に効果があるものと思われる。

君 賢司, 日本歯科大学新潟歯学部, 5年生

顎二腹筋の中間腱が舌骨に付着しない破格例について

我々は課外活動において、本学における遺体のデモンストレーション用標本を作成するための活動を行っている。そこで2体の遺体を解剖したところ、 1体に顎二腹筋前腹の異常が認められ、これは先人に報告の少ない、舌骨に顎二腹筋の中間腱が付着しない破格例であった。この破格例を興味深く考えた我々 は、平成8 年度本学解剖学実習において追調査を行いさらに破格例を追加することができた。本研究においては、顎二腹筋の破格について先人の研究報告と今回の調査研究 例を山田(1935)の分類にそって分類し、比較、検討しながらその発生学的成因及び機能について考案を行った。また、顎二腹筋中間腱の下顎骨からの距離 を測定することによって、顎二腹筋を中間腱の舌骨への付着状態から分類することを試みた。

高木 一典, 大阪大学歯学部, 5年生

ネコ咀嚼筋運動ニューロンの形態(細胞内HRP注入法を用いて)

咀嚼筋支配の三叉神経運動ニューロンの機能的差異が、それらの形態に如何に反映されているのかを解明することを目的とした。深麻酔された成ネコを用 い、 HRPを充填した微小ガラス管ピペットを1個の運動ニューロンに刺入し、その生理学的特性を記録後、細胞内にHRPを注入した。脳幹の連続横断切片を作成 し、DAB反応にて呈色されたニューロンの細胞体と樹状突起を、描画装置を用い二次元に、また少数のニューロンは画像をコンピューターに取り込み、三次元 に再構築した。その結果、咬筋運動ニューロンのα型とγ型の樹状突起形態は著しく異なり、γ型はより単純な分枝様態を示すこと、またα型は分枝様態から2 型に分けられるが、開口筋運動ニューロンには亜型がないことがわかった。以上により、ニューロンの形態は、その機能を反映していることが明らかとなった。

高橋 明日香, 朝日大学歯学部, 6年生

コンポジットレジンヘの口腔細菌の付着性

コンポジットレジンの表面に口腔細薗が付着することによって、二次カリエスおよび歯周炎が生じ、従来の報告から齲蝕関連細菌の通性嫌気性レンサ球菌 が修復物によく付着することが明らかにされている。 本検索では、上顎第一大臼歯頬側部に装着したコンポジットレジン片から優位に分離されるS. oralis groupのレンサ球菌のコンポジットレジンヘのin vivoでの付着性を検討した。 供試菌としては、S. oralis groupのS. mitior, S. sangiusおよびS. oralisを使用した。コンポジットレジンは市販のパルフィークライトを用いた、また、スクロース非依存性下で、細菌付着性試験(in vitro)を行った。コンポジットレジンヘの供試したStreptococciの付着性は、唾液およびアルブミンでコンポジットレジンを処理することに よって低下し、これらの結果からコンポジットレジンヘの細菌付着性に唾液タンパクが関与するものと考える。

藤本 治文, 大阪歯科大学, 6年生

歯内治療におけるニッケル・チタン(NiTi)製器具の便用について

ニッケル・チタン(NiTi)含金は、高い柔軟性を有することで知られているが、実際にステンレス鋼とどのくらいの差があるのか調べてみた。 NiTiファイルと従来(ステンレス鋼)のファイルの先端にそれぞれ力を加え、45度曲げるのに必要な力を測定し、両者を比較した。また、NiTiファイ ルを用いて弯曲根管の拡大を行うと根管の偏位がほとんどみられないとされているが、これについても、従来のファイルとの差を調べてみた。抜去した大臼歯を レジンブロック中に包埋固定し、切断後も各歯片が復位できるようにブロックにボルトを差し込んでおいた。歯根をブロックごと横断し、横断面の顕微鏡写真を 撮影し、NiTiファイルまたは従来のファイルで根管拡大し、再び横断面の顕微鏡写真の撮影を行い、拡大前後の2枚を比較して根管の偏位を観察し、 NiTiファイルと従来のファイルの比較を行った。

安田 卓史, 日本歯科大学歯学部, 4年生

老人歯科医療における口腔諸器官の解剖学的研究

日本における老齢者の増加は歯科医療においても重要な課題である。しかし、老化により口腔諸器官に下顎骨の吸収、咀嚼筋の萎縮、あるいは退行性変化 などの形態的変化が口腔諸器官に起こっているものと推測されるが、(1)顎骨が機能的に健全であることと加齢とはどのような関係にあるのか?(2)加齢に 関係なく歯牙の有無(有歯顎と無歯顎)が顎骨にどのような影響を及ぼすのか?(3)咀嚼時の口腔諸器官が(1)と(2)の疑問点とどのような関係にあるの か?などの問題がある。そこで、学生レベルで検索可能で解剖学的にも最も基礎的な方法である「おおきさ」を用いて有歯顎と無歯顎という2つのステージで 「骨、舌、腺、神経」の形態を調べ、老化と口腔諸器官の関係を考察した。さらに、老人歯科医療における解剖学的資料の意義を検討した。

第2回大会 1996年(平成8年)8月28日 参加校 8校

タイトルおよび発表内容要旨 (入賞者を除き発表者氏名50音順)
※氏名・所属・学年は発表当時

優勝:松山 智子, 日本大学歯学部, 6年生

塩素濃度の異なる2種類の酸化水の殺菌効果および保存条件による経時的変化

水に少量の食塩水を加え電解することにより得られる強酸化水は、歯科領域では消毒剤への応用、さらに齲蝕や歯周疾患患者に対する化学的プラークコン トロー ル剤として使用が検討されているが、タンパク質の添加や保存することによる殺菌効果の低下やpHが2.0-3.0であることによる金属の腐食、硬組織の脱 灰が懸念されている。最近、pHがより中性になるような酸化水(以下ソフト酸化水:SOWと略す)が開発されたので、そのSOWを用いて、歯科領域での利 用を考え、口腔微生物および一般細菌(12菌種12株)に対する殺菌効果を検討し、さらに保存することによる経日的変化についても強酸化水と併せ検討し た。結果は、強酸化水よりSOWの方が短時間で強い殺菌効果を示し、長時間の保存が可能であることを認めた。しかし、まだその安全性に関しては報告がない ため、今後のさらなる基礎的、臨床的研究の必要性が考えられた。

準優勝:奥村 哲, 東京医科歯科大学歯学部, 6年生

パーソナルコンピューターを用いた新しい発語明瞭度検査法の開発

上顎有床義歯の不快事項に子音の構音障害がある。従来の構音機能の評価法としては、発語明瞭度検査等が行われてきた。しかし、この検査は数名の聴取 者が必 要で、また心理学的影響が避けられないため、その客観性に問題があった。そこで、よリ簡便で客観的な方法として、パソコンをもちいて各子音の持続時間等を 測定する方法を考案したので報告する。上顎有床義歯の代用として、口蓋を覆う厚さ均一なアクリル製プレートを作成した。健常者を被験者とし、プレート装置 時、及び非装置時の発音をDATに録音し、PCを用いて子音の持続時間などを測定、比較した。その結果、プレートの有無によって子音持続時間やSDが変化 することが示された。これらは発音の明瞭さを反映する因子であると考えられるので、この方法によって発音の明瞭さの簡便で客観的な評価が可能である。さら に改良することにより、チェアーサイドでの蝋義歯の調整などに応用できるであろう。

第3位:秋根 麻, 長崎大学歯学部, 6年生

水泳競技におけるマウスピース(Soft Occlusal Plate)の効果

現在スポーツ選手でマウスガードやテンプレート等のマウスピースを装着する者が増えている。マウスピースの効用は野球等に於いては最大筋力の向上 を、また ラグビー等のコンタクトスポーツに於いては衝撃吸収による外傷予防が主である。しかし水泳等の有酸素運動に於ける使用はまだ少ない。その理由には呼吸抑 制・嚥下困難・違和感等が考えられる。 これらの問題点を改善するため新しいタイプのマウスピース soft occlusal plate (SOP)を考案した。被験者として本校の水泳部員を選び、本装置を装着させクロールを泳がせた。そして装着時と非装着時の平均タイムを比較し、本装着の 効果の有無を検討した。その結果、SOPの装着によって平均タイムの短縮傾向が認められた。このことから本装置の使用は水泳時の最大筋力の増加、またスト リームラインの改善等に効果があるものと思われる。

君 賢司, 日本歯科大学新潟歯学部, 5年生

顎二腹筋の中間腱が舌骨に付着しない破格例について

我々は課外活動において、本学における遺体のデモンストレーション用標本を作成するための活動を行っている。そこで2体の遺体を解剖したところ、 1体に顎二腹筋前腹の異常が認められ、これは先人に報告の少ない、舌骨に顎二腹筋の中間腱が付着しない破格例であった。この破格例を興味深く考えた我々 は、平成8 年度本学解剖学実習において追調査を行いさらに破格例を追加することができた。本研究においては、顎二腹筋の破格について先人の研究報告と今回の調査研究 例を山田(1935)の分類にそって分類し、比較、検討しながらその発生学的成因及び機能について考案を行った。また、顎二腹筋中間腱の下顎骨からの距離 を測定することによって、顎二腹筋を中間腱の舌骨への付着状態から分類することを試みた。

高木 一典, 大阪大学歯学部, 5年生

ネコ咀嚼筋運動ニューロンの形態(細胞内HRP注入法を用いて)

咀嚼筋支配の三叉神経運動ニューロンの機能的差異が、それらの形態に如何に反映されているのかを解明することを目的とした。深麻酔された成ネコを用 い、 HRPを充填した微小ガラス管ピペットを1個の運動ニューロンに刺入し、その生理学的特性を記録後、細胞内にHRPを注入した。脳幹の連続横断切片を作成 し、DAB反応にて呈色されたニューロンの細胞体と樹状突起を、描画装置を用い二次元に、また少数のニューロンは画像をコンピューターに取り込み、三次元 に再構築した。その結果、咬筋運動ニューロンのα型とγ型の樹状突起形態は著しく異なり、γ型はより単純な分枝様態を示すこと、またα型は分枝様態から2 型に分けられるが、開口筋運動ニューロンには亜型がないことがわかった。以上により、ニューロンの形態は、その機能を反映していることが明らかとなった。

高橋 明日香, 朝日大学歯学部, 6年生

コンポジットレジンヘの口腔細菌の付着性

コンポジットレジンの表面に口腔細薗が付着することによって、二次カリエスおよび歯周炎が生じ、従来の報告から齲蝕関連細菌の通性嫌気性レンサ球菌 が修復 物によく付着することが明らかにされている。 本検索では、上顎第一大臼歯頬側部に装着したコンポジットレジン片から優位に分離されるS. oralis groupのレンサ球菌のコンポジットレジンヘのin vivoでの付着性を検討した。 供試菌としては、S. oralis groupのS. mitior, S. sangiusおよびS. oralisを使用した。コンポジットレジンは市販のパルフィークライトを用いた、また、スクロース非依存性下で、細菌付着性試験(in vitro)を行った。コンポジットレジンヘの供試したStreptococciの付着性は、唾液およびアルブミンでコンポジットレジンを処理することに よって低下し、これらの結果からコンポジットレジンヘの細菌付着性に唾液タンパクが関与するものと考える。

藤本 治文, 大阪歯科大学, 6年生

歯内治療におけるニッケル・チタン(NiTi)製器具の便用について

ニッケル・チタン(NiTi)含金は、高い柔軟性を有することで知られているが、実際にステンレス鋼とどのくらいの差があるのか調べてみた。 NiTiファ イルと従来(ステンレス鋼)のファイルの先端にそれぞれ力を加え、45度曲げるのに必要な力を測定し、両者を比較した。また、NiTiファイルを用いて弯 曲根管の拡大を行うと根管の偏位がほとんどみられないとされているが、これについても、従来のファイルとの差を調べてみた。抜去した大臼歯をレジンブロッ ク中に包埋固定し、切断後も各歯片が復位できるようにブロックにボルトを差し込んでおいた。歯根をブロックごと横断し、横断面の顕微鏡写真を撮影し、 NiTiファイルまたは従来のファイルで根管拡大し、再び横断面の顕微鏡写真の撮影を行い、拡大前後の2枚を比較して根管の偏位を観察し、NiTiファイ ルと従来のファイルの比較を行った。

安田 卓史, 日本歯科大学歯学部, 4年生

老人歯科医療における口腔諸器官の解剖学的研究

日本における老齢者の増加は歯科医療においても重要な課題である。しかし、老化により口腔諸器官に下顎骨の吸収、咀嚼筋の萎縮、あるいは退行性変化 などの 形態的変化が口腔諸器官に起こっているものと推測されるが、(1)顎骨が機能的に健全であることと加齢とはどのような関係にあるのか?(2)加齢に関係な く歯牙の有無(有歯顎と無歯顎)が顎骨にどのような影響を及ぼすのか?(3)咀嚼時の口腔諸器官が(1)と(2)の疑問点とどのような関係にあるのか?な どの問題がある。そこで、学生レベルで検索可能で解剖学的にも最も基礎的な方法である「おおきさ」を用いて有歯顎と無歯顎という2つのステージで「骨、 舌、腺、神経」の形態を調べ、老化と口腔諸器官の関係を考察した。さらに、老人歯科医療における解剖学的資料の意義を検討した。

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